イーゴリ公、A.ボロディン

「イーゴリ公」は、アレクサンドル・ボロディンの書いた唯一のオペラ。その誕生物語を知ると、私たちはこのオペラが存在していて本当によかったと感じます。ボロディンは、もともと科学者であり、作曲を趣味と見なしていました。おそらくそのため、この作品のスケールにボロディンは圧倒され、28年近くを費やしたにもかかわらず、生前中にこの作品を完成することができませんでした。ニコライ・リムスキー=コルサコフ、アレクサーンドル・グラズノーフら現代ロシア音楽の作曲家が完成したおかげで、この作品が世に出ることになったのです。

「イーゴリ公」はスケールの大きい作品ではありますが、ストーリーは、ヒーローと裏切りというシンプルなものです。プチーヴリの町の領主イーゴリは、中央アジアの遊牧民族ポロヴェツ人の君主の討伐に出発します。イーゴリは敵に捕らえられてしまいますが、真の脅威は義兄のガーリチ公。イーゴリ公の留守をいいことにプチーヴリを思うままにし、イーゴリ公の地位をねらっています。ガーリチ公の策謀からの逃亡に成功したイーゴリ公、果たしてもとのプチーヴリを取り戻すことができるでしょうか。

時には、ほんの1曲が作品全体をしのぐこともあります。韃靼人の踊りの何曲かは長年にわたって、オペラ以外の場でも大きな成功をおさめてきました。20世紀初頭にパリを魅了した、セルゲイ・ディアギレフのロシア・バレエ団でも演奏されていますし、さらに、ブロードウェイ・ミュージカル「キスメット」の中で、また2014年のソチ・オリンピックの開会式でも演奏されました。

けれども、「イーゴリ公」で評価されるのはこの有名な踊りだけではありません。この作品でボロディンは二つの異なる音楽コンセプトを用いました。一つは、生まれ故郷ロシアの大衆音楽にインスピレーションを受けたメロディーで表現される、ロシア人的パーソナリティー。もう一つは、ヨーロッパ人がアジア音楽の特徴と見なしている、半音階を用いたポロヴェツ人のエキゾチックな描写。この二つを一つにしたという点からも「イーゴリ公」は傑作と言えるのです。

当時ロシアで使用されていたユリウス暦によれば1890年10月23日、今日のグレゴリア暦では11月4日、サンクト・ペテルブルグのマリインスキー劇場で初演されました。今回は、ウィーン・フォルクスオーパーでお楽しみください。

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