「オズの魔法使い」は、どんなミュージカルにも負けない魔法いっぱいの物語。大人からも子供からも愛されています。1939年、ジュディー・ガーランドがドロシー役で出演した大ヒットの映画で、知恵のない案山子、臆病なライオン、心を探すブリキ男と初めて出会った方もたくさんいらっしゃることでしょう。けれども、舞台でのミュージカル「オズの魔法使い」は、ハリウッドの映画よりも10年あまり前に作られていたのです。
L・フランク・ボームのおとぎ話「オズの魔法使い」は、20世紀になろうとしている頃に書かれ、初めはフレッド・R・ハムリンによって舞台化されました。エクストラヴァガンツァのミュージカルとして制作されたこの「オズの魔法使い」は、1902年6月16日にシカゴのグランド・オペラ・ハウスで初演され、その後1903年1月23日からブロードウェイのマジェスティック劇場、続いてアメリカの各地で公演されました。
「オズの魔法使い」のストーリーは皆さんにおなじみのものなので、ここで改めてご紹介する必要もないでしょう。カンザスの農園に住む娘ドロシーは、トルネードに襲われて魔法の国オズへと連れて行かれてしまいます。彼女が帰り道を見つける手助けができるのは、魔法使いだけでした。けれども、助けを求める前にドロシーは、まず、エメラルド・シティを見つけ、東の大魔女と翼のある猿の軍団の策謀から逃れなければなりませんでした。
ボームの原作はとても魅力的だったので、このオズの世界はいろいろな国で舞台化・映画化されました。代表的なものに、ダイアナ・ロスがドロシーを、マイケル・ジャクソンが案山子を演じた、チャーリー・スモールズとウィリアム・F・ブラウンの「ウィズ」、さらに最近のステファン・シュワルツとウィニー・ホルツマンの「ウィケッド:オズの魔法使いの知られざる物語」があります。後者は、ロンドンのイーストエンドで、10年以上も満場が続きました。
今回は、ウィーン・フォルクスオーパーで、このすばらしいミュージカルが公演されます。公演は、1987年ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー制作、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー配給のテクニカラー映画版に最も忠実で、ハロルド・アーレン及びイップ・ハーバーグが手がけた永遠の名曲「虹の彼方に」も歌われます。